江戸時代を代表する全盲の鍼師・杉山検校和一は、2010年に生誕400年を迎えます。杉山和一は、日本固有の管鍼術を考案した日本鍼灸療法の中興の祖であります。
また、和一は鍼治導引稽古所を開いて視覚障害者に学術の道を開きました。1682年には鍼治の振興のために鍼治講習所として開設し、五代将軍綱吉公の病を癒したことから公式に認められて、視覚障害者の教育にあたるようになりました。のちに後継者らによって全国45ヶ所の鍼治講習所が開かれることとなり、現在の盲学校教育の基となっております。
この偉業は、フランスのヴァランタン・アユイ(Valentin Hauy)が1784年に視覚障害者教育を欧州で初めて行ったとされる100年余り前のことであります。さらに、この功績は日本の視覚障害者に鍼灸・按摩療法を生業として定着させました。
その後、明治になって近代化の波により当時の視覚障害者組織であった当道座や鍼治講習所が廃止されましたが、1890(明治23)年、視覚障害者・業者らは、鍼治講習所跡である江島弁天分社の地(現在の東京都墨田区千歳1-8-2)に杉山神社として祭り、杉山和一に報恩感謝を示すとともに学術の興隆を継承してまいりました。
この神社・史跡は、関東大震災と第二次世界大戦の2回にわたり灰燼に帰しましたが、関係者らによって1952(昭和27)年に再建されて今日に至っております。
1930(昭和5)年には、こうした事業を永く継承すべく、関係各位が財団法人杉山検校遺徳顕彰会を設立して事業運営にあたってまいりました。
杉山和一の功績の柱は4つにまとめられます。(1)管鍼の考案による日本鍼灸術の構築、(2)鍼治講習所を開いて視覚障害者の集団教育の道を確立し、そして、(3)我が国の視覚障害者に鍼灸・按摩療法を生業として定着させるとともに、(4)視覚障害者の社会的自立の道を開かれたことであります。
すなわち、和一は医療、障害教育、そして障害者自立と社会福祉の先達であり、世界に類を見ない我が国の偉人とも言えましょう。
この生誕400年を機に、世紀を越えた伝統を持つ日本鍼灸療法の基盤を一層充実させると同時に、視覚障害者の報恩感謝の心として、広く未来の飛躍に向けての礎となるような記念事業を行うことを計画致しました。
以上の趣旨に、以下の発起、支援団体の会員をはじめ広く社会の皆様のご賛同をいただき、記念事業の資金募集にお力添えを賜りたく、切にお願い申し上げる次第です。
〔主な記念事業〕
1.記念館(資料館)の設置
杉山検校和一に関係する古文書や文献、あるいは江島杉山神社の貴重な歴史的資料を補修保存し一般に公開できるよう、境内の現施設を記念館に建て替え整備します(筑波技術大学産業技術学部 総合デザイン学科教授
長島一道教授製作)
2.記念誌などの刊行と記念切手発行の推進
生誕400年、神社創建120周年および本会創設80周年の記録ならびに杉山和一の功績の啓発として童話などの刊行と記念切手の発行申請
3.記念式典の開催と杉山検校賞の授与
杉山和一への感謝の集いと功労者への表彰
〔募金要領〕
1.募金目標額:4000万円
2.寄付金の払込方法
会員各位は5千円以上をお願い致します。これより少額でのご協力も歓迎いたします。(ご寄付いただいた方のご芳名を記録に留めて、永く感謝の意を表したいと存じます)
杉山検校遺徳顕彰会
振込番号 00190−5−281484
※専用振込用紙のない方は、お手数でも通信欄に「杉山和一生誕400年記念募金」と明記して振込をお願い致します。
3.募集期間
平成22年11月から23年10月
財団法人 杉山検校遺徳顕彰会
会長 和久田 哲司
杉山和一生誕400年記念事業
実行委員会委員長 時任 基(日本あん摩マッサージ指圧師会・会長)
副実行委員長 龍澤 良忠 (全国病院理学療法協会・会長)
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